士業事務所に就職すると、どんなキャリアプランが待っているのでしょうか?それを考えるためには、事務所の構造を知っておきましょう。私の経験した士業事務所(司法書士、土地家屋調査士事務所)と見学させてもらったりお付き合いのあった事務所の情報を元に記事を作成しました。

たぶん、一番多い個人事務所の人員(2~5人事務所)

私の知っている限り、司法書士・土地家屋調査士の個人事務所としてはボスを入れて2~5人程度の事務所が一番多いです。では、その場合の階層構造をお伝えします。

ボス(資格者)+資格者1人の場合

ボス(資格者)と資格者が1人在籍している場合は、次のようなヒエラルキーになります。

パートナーの資格者はこの事務所で育った元補助者ということもあります。ボスの片腕であったり、師弟関係だったりしますが、関係性が深いことが多いです。友人や知り合い同士の資格者は、どうもうまくいかないことが多いようで、大体1~2年程度でどちらかが出て行っています・・・

資格者が2名いる事務所は資格者の上下がハッキリしており、方針や案件処理の仕方が違うということも少ないです。そして、資格者以外の構成はパートが1~2名、正社員が1人いるかどうかです。資格者が2名いるとそれだけの仕事を持っているので事務処理に人員が必要ですので、こういった構成になります。

資格者がボス1人の事務所

資格者がボス1人の事務所はこのようなヒエラルキーになります。

ボスが独立した後、最初は配偶者に手伝ってもらうことがありますが、ある程度の規模(月間200~300万円程度)になってくると事務処理が追い付かず、何でもやってくれる補助者の存在が必要になってきます。

そういった時に入って事務所拡大に貢献した人が番頭になります。番頭の役割は、取引先の御用聞きや営業活動、事務処理の責任者、そして場合によってはボスの相談役と沢山やることがあります。そして、補助者のまとめ役でもあります。(「番頭」という役職があるわけではなく、俗称みたいなものです)

そして、その番頭さんの下に正社員やパートさんが存在しています。正社員同士でも、番頭さんとそれ以外の正社員では役割も責任も違います。

士業事務所でのキャリアプラン

2~5人事務所のキャリアプランはシンプルです。「番頭」になるかならないかです。既に書いたとおり、正社員としてはヒラか番頭の2種類しか役職がありません。キャリアプランと言えるか分かりませんが、それぞれの道のりを説明します。

番頭になる選択

番頭になるかどうかは、入所のタイミングと根気強さだと思います。既にある事務所に入る場合、ほとんどは番頭が存在しています。私の個人的な感想として、事務所の資格者は入れ替わりをよく耳にしますが、番頭が入れ替わることはほとんどありません。そして、ボスと番頭は年齢が近い場合も多く、定年などによる引継ぎも考えにくいです。

では、その番頭は「いつ番頭になったか?」が問題になります。それは、ボスが事務所を開いた若しくは人を雇い始めた時です。ボスは最初の1人を雇用する場合には、自分の業務・やり方を理解している人という即戦力を求めています。そうなると、知り合いだったり元同僚などに声をかけることになります。そして雇用された番頭候補は、今までと違った関係になりつつも、事務所に貢献をし続けていつの間にか「番頭」になっているのです。

この流れを考えると、「小規模な士業事務所の番頭になろう」というのはとても難しいと思われます。一番の近道としては、大手で資格者も沢山いる士業事務所に勤務して、そこで知り合った人について行くことでしょう。

補助者(番頭以外)としてのキャリアプラン

番頭を目指さずに補助者としてその事務所で活躍したい、という場合には飛びぬけた実務の処理能力や営業力が必要になります。ボス(資格者)からすると、補助者はあくまで補助者なので、替えがきくし、そんなに難しい仕事をやってもらう必要もありません。書類作成、スケジューリング、役所とのやり取りなどができれば、だれでも良いのです。

そんな状況から補助者として突出しようとすると、「戸籍を読むのは誰にも負けない」「取引先に資料をもらいに行ったらついでに仕事ももらってくる」「相談会のイベントが開ける」「ホームページ作成・運営ができる」など、プラスαで優れた能力が必要です。そして、そういった能力があったとしても、基本的に小規模な個人事務所はボスのワンマンチームなので、ボスの方針に不要なスキルなどは評価されません。

小規模な士業事務所(2~5人)での勤務は・・・

将来のキャリアプランを考えると、小規模な士業事務所で大成するのは難しいと思われます。特に、士業の業界は無資格でできることは限られていますので、資格を取って独立するか、番頭としてボスと一蓮托生の付き合いをするか、大成は目指さずにコツコツと実務をこなしていくか、のどれかを選択することになります。

まとめ

士業事務所(2~5人)の構造は説明してきた通りです。資格を取らないならば番頭になるかどうかの二択ですが、実際にはタイミングという運の要素が大きいので、キャリアプランとして考えるのは難しいかもしれません。

士業事務所で補助者として頑張るという方が昇進などを考えるのであれば、中規模(6~20人)~大規模(20人超え)の事務所をお勧めします。