前回の記事に引き続き、中規模(従業員6~20人の事務所)の構造とキャリアプランを分析してみます。私の経験した士業事務所(司法書士、土地家屋調査士事務所)と見学させてもらったりお付き合いのあった事務所の情報を元に記事を作成しました。

成長過程の士業事務所と安定した士業事務所(6~20人事務所)

司法書士・土地家屋調査士の事務所で6~20人程度の事務所は安定した取引先や業務を持っています。これから更に20人超えの事務所に成長していくか、安定した状態でそれ以上人員を増やさないか、この辺りはボスの方針によって決まります。では、その場合の階層構造をお伝えします

パターン①ボス(資格者)+番頭(資格者or補助者)がいる場合

ボス(資格者)と番頭(資格者or補助者)がいる場合は、次のような構造になります。

この構造の場合は、実務チーム(1チーム3~6人くらい)が2つか3つあり、それぞれが別の業務を担っています。司法書士事務所だと、不動産登記(売買の所有権移転や抵当権設定登記など)と法人登記(会社設立や役員変更など)に分けたり、債務整理・相続などの部門を作っている事務所もあります。

各チームは資格者をリーダーとしてチームになり、番頭が全体の売り上げを管理したりトラブル対応などを行います。この規模になると、ボスはもちろん番頭も実務はあまりせずに、管理に注力しています。また、番頭は補助者(無資格者)が担っていることもあります。

パターン②ボス(資格者)+資格者の率いるチーム(番頭がいない場合)

ボス(資格者)+資格者の率いるチーム(番頭がいない場合)はこのような構造になります。

この場合は、ボスが実務を管理している構造です。パターン1と同様に資格者1と資格者2の部門は別事業を行っていますが、実務の責任者がボスが担っており、ボスは管理と実務に加えて営業も行って、大忙しです。

無資格者の士業事務所でのキャリアプラン

中規模事務所での無資格者のキャリアプランは、事務所の構造がパターン①かパターン②かで変わります。パターン①の場合は無資格者でも能力を見て管理職にも登用される可能性がありますので、実務を頑張りつつ資格者のサポートをしながら、資格者1のイスを奪、「番頭」になることも可能です。

パターン②の場合は資格者がチームの管理を行い、無資格者はその下で働くしか道はありません。重い責任が来ない代わりに、重要な役職に上がれる可能性も低いでしょう。

番頭になる選択

小規模事務所の場合はボスの影響力が強いので、番頭は多少実務能力や管理能力が劣っていても、人柄やボスとの関係で選ばれることが多いです。しかし中規模事務所になると、番頭になるかどうかは実務や管理職としての能力を見られます。このレベルになってくると従業員に対するボスの影響力は小さくなってしまい、番頭は実務面・管理面で高い能力が要求されます。

そういう条件を考えると、パターン①の体制の事務所で無資格者(補助者)からチームリーダー⇒番頭ということも可能です。

補助者(番頭以外)としてのキャリアプラン

番頭までは目指さないにしても、自分の配属されたチームで頑張って責任者になる、若しくは新たな部門が立ち上がる時に責任者に挙手してチャンスを掴む、ということもキャリアアップの道筋です。

更に成長する可能性があるのは、パターン①の事務所

中規模事務所はパターン①とパターン②がありますが、更に成長して大規模事務所になる可能性があるのはパターン①です。なぜなら、パターン①の事務所はドンドン仕事が増えた時には、チームを増やすことで対応ができます。場合によっては番頭を2人設置しても良いでしょう。

しかし、パターン②の体制だとボスが見える範囲までしか業務を増やすことができないので、これ以上の成長は難しいと思われます。成長する事務所は果敢にチャレンジも行うので、事業縮小のリスクも勿論あります。事業規模の拡大は目指さなくても安定しているパターン②、更に大きくなる可能性のあるパターン①、自分に合った方を選んでみてはいかがでしょうか。

まとめ

資格取得は目指さないけど、無資格者としてチャレンジしたいという方は、この中規模以上の事務所への勤務をお勧めします。タイミングや評価によってはキャリアアップの可能性もあり、チャレンジし甲斐があるのではないでしょうか。

パターン①とパターン②の見分け方は、また別の記事でご紹介します。