今回は、大規模事務所(従業員20超えの事務所)の構造とキャリアプランを分析してみます。私の経験した士業事務所(司法書士、土地家屋調査士事務所)と見学させてもらったりお付き合いのあった事務所の情報を元に記事を作成しました。

更なる拡大、支店経営、他業種への進出を行う士業事務所(20人超事務所)

司法書士・土地家屋調査士の事務所で従業員が20人を超える規模となると、支店展開したり他業種(不動産屋、金融関係、飲食店まで)への進出が見られます。理由としては、司法書士や土地家屋調査士の事務所がカバーする営業エリア(商圏)での顧客には限界があり、1か所の事務所で20人以上の従業員を維持するだけの売り上げはかなり難しいです。大口の取引先があったり、分譲会社と提携をできていれば話は別ですが・・・

さて、そんな大規模事務所ですが構造は更に複雑化してきます。(中規模以上の事務所は大体、法人化していますがここでは分かりやすいように『事務所』と表現しています)

パターン①支店展開しているパターン

司法書士や土地家屋調査士の事務所は現在、法人化することが可能になっており、主たる事務所(本店)と従たる事務所(支店)を置くことができ、県をまたいで支店展開することもできます。ただし、本店・各支店には資格者の役員(責任社員と言います)が最低1人は常駐する義務があります。ですので、本店と支店3つを運営しようとすると、役員になる資格者が最低4人は必要です。

それぞれの支店は役員が管理し、従業員も本店から異動したり、現地採用したりと様々です。そして各支店の規模は大体5人~10人程度が多いようです。この構造で分かるように、支店長は必ず資格者になるので、無資格者(補助者)が役職につくことはなく、最高でも支店長代理あたりでしょうか

この構造の場合は、実務チーム(1チーム3~6人くらい)が2つか3つあり、それぞれが別の業務を担っています。司法書士事務所だと、不動産登記(売買の所有権移転や抵当権設定登記など)と法人登記(会社設立や役員変更など)に分けたり、債務整理・相続などの部門を作っている事務所もあります。

各チームは資格者をリーダーとしてチームになり、番頭が全体の売り上げを管理したりトラブル対応などを行います。この規模になると、ボスはもちろん番頭も実務はあまりせずに、管理に注力しています。また、番頭は補助者(無資格者)が担っていることもあります。

パターン②他業種に進出するパターン

士業事務所の展開はせずに、関連業種や完全異業種へ進出することもあります。この場合、新規業種の経験者を雇用して事業を立ち上げますが、士業事務所の従業員から選出されて出向する場合もあります。他業種に進出する場合はボスが社長の会社を設立するのですが、資格は関係ない(その業種での資格や免許は必要)ので、無資格者でもこのタイミングで出向することができれば、その他業種の管理職や役員になれる可能性があります。

そして士業事務所から出向となると、資格者が選ばれることはありません。なぜなら、資格者は士業事務所に必要な人材なので、他の事業にリソースを割いては勿体ないのです。ですので、無資格者の方が活躍するチャンスと言えます。

無資格者の士業事務所でのキャリアプラン

大規模事務所での無資格者のキャリアプランも、事務所の構造がパターン①かパターン②かで変わります。パターン①の場合は各支店の支店長代理あたりを目指すか、本店の番頭を目指すかの2択となります。そして、パターン②は前述のとおり、進出する他業種での活躍のチャンスがあるので、士業事務所の補助者以外の道を探している方は、ここで自薦すると良いでしょう。

どちらも更なる成長の可能性あり

この規模になってくると競合他社が全国規模になってくるので、状況や運次第では更に大きくなることもあります。もちろん、他業種進出が失敗して潰れてしまうこともあります。

無資格者としてこういった事務所に勤めるのは良い経験になるとも思いますし、それなりの「企業」になってくるので、福利厚生や給与面も、中小の個人事務所よりは比較的よくなっていることが多いです。

まとめ

大規模事務所の場合には資格者と無資格者の役割が更に明確になり、支店展開している場合などは支店の責任社員(資格者)は個人事務所を開いたようなものです。実際に私の周りでは、支店の責任社員は次々と独立していきました。(ボスとしては無念のようでしたが・・・)

無資格者としても、活躍の場に色んな選択肢ができてくるので、本店で頑張りつつ、新しい話があればチャレンジすると大きな成果を掴めるかもしれません。